第38回丹沢湖ハーフマラソン大会のゲスト岩本能史さんより、大会に参加される

ランナーの皆様へアドバイスをいただきます。

大会までの3週間にわたり、毎週木曜にこちらの新着情報にアップしていきます。

是非参考にしていただき、大会当日の目標達成に役立ててください!

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丹沢湖マラソンに参加される皆さん、こんにちは。
今回ゲストランナーとしてお招きいただきました岩本能史です。
きょうから3回、毎週木曜にレースに向けた直前対策講座をアップしたいと思います。

さて、大会当日まで2週間ほどになりました。
この時期に注意したいことは、練習不足に慌てて急に走る量を増やし逆に体調を

崩してしまったり、脚などを傷めてしまうことです。
うまく練習が積めている人もそうでない人も、今から出来る効果的なポイント練習を

紹介しますので、まずは今週末(12日か13日)にチャレンジしてみましょう。

この時期最も効果的なのはズバリ「峠走」です。
山北町にお住いの人、毎週末になると駅前のさくらの湯から走り出すランナーを

多く見ることはありませんか?
あのランナー達は遠くは茨城や千葉、埼玉からわざわざ山北を発着とした「峠走」を

しに来ているのです。こんな私も現在は沖縄の那覇在住ですが、峠走のために

80km離れた八重岳という山に走りに行ったり、東京滞在の時期も山北まで

片道2時間近くかけて峠走に来ています。それほどまでに効果的な練習が「峠走」です。
そう書くと、きっと多くの皆さんは「とても高度で大変な練習なのでは?」と思われる

かもしれません。ところがまったくそんなことはなく、簡単にひとりでも出来るのが「峠走」です。

どのような練習かというと、舗装された道路を使って「行きは上りっぱなし→帰りは

下りっぱなし」という練習方法です。
例えば、山北のさくらの湯をスタート&ゴールとした場合ですと大野山方面に

向かって走りある程度の距離を走ったら、来た道を戻るだけです。
もちろん山北だけではなく、ある程度の距離がある上り坂であればどこでも大丈夫です。
距離や傾斜にはあまりこだわらず、普段の平地走行から抜け出して峠走をしてみませんか?

この峠走の効果について書き出しましょう。
・上りでは 心肺機能&推進力を生む脚の筋肉
・下りでは 着地衝撃に強い前もも強化&速い動き
をそれぞれ上り下りで分割して鍛えることが出来るのです。

特にこのレース前2週間のタイミングで効果的なのは下りで鍛えることが出来る

「前ももの筋肉」です。
ここで皆さんに質問です。レースを走った翌日、次のどの動きが苦痛でしょうか?
・階段を上る
・階段を下る
・平地を歩く
きっと多くのマラソン経験者は「階段を下る」と答えるのではないでしょうか。
(実はマラソン未経験者の多くは「きっと『階段を上る』ではないか」と答えます)
多くの皆さんが答えられる通り、「階段を下る」動きが非常につらいのが普通です。
ここからが大切なのですが、その理由は簡単でレースでの一歩一歩の着地で前のももが

大きなダメージを受けます。その前のもものダメージが蓄積して、翌日筋肉痛となり

「階段を下る」際に身体を支えることが困難になるのです。
着地衝撃によるこの筋肉破壊こそが、レース後半のペースダウンや歩きたくなる

気持ちにさせる大きな原因になるのです。
つまり、この「峠走」で事前に一度、レースと同じような着地衝撃を「下り坂」で

作って経験させることで一気に強い前ももの筋肉を作り上げることが出来るのです。
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週間前に行えば、普段だったら10km地点で訪れるペースダウンの誘惑が

15kmに、もしかするとゴールまで起こらないかもしれません。
この「峠走」は3kmレースでも10km、ハーフはもちろん、フルマラソンでも

非常に有効な練習方法で現在は多くのランナーがレース前に実施しています。
こんな私も200km以上の本番レースの前には山北町を訪れ、さくらの湯~

足柄峠~駿河小山駅 を往復し1度に45kmのダブル峠走を行っています。

では次に走る距離についてです。
目安としては月間走行距離の10分の1が峠走の効果的な距離になります。
例えば月に合計80kmほど走る人なら片道4kmの坂を往復する8km

その目安となります。月間180km走っている人がいるならぜひ、さくらの湯~

大野山山頂を往復してみてください。距離はちょうど18kmですし、斜度も最適。

また終了後の温泉も格別です。
「ちょっと待って!俺は月間250km走っているぞ」というツワモノはさくらの湯~

足柄峠(万葉公園)の往復がオススメです。
「いや、俺は月間500km!」という人、ぜひ私にマラソンを教えてください。
それは冗談ですが、峠走はこのレース2週間前こそ大きなチャンスタイミングです。
ぜひチャレンジしてみてください!